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Journal of Medicinal Chemistry


概要

PPAR/RXR、LXR/RXR、FXR/RXRなどのレチノイドX受容体(RXR)ヘテロ二量体は、RXRアゴニストのみでも活性化されるため、permissive(許容)と呼ばれている。同様に、既存のRXRアンタゴニストは、これらの寛容なRXRヘテロ二量体において、パートナー受容体アゴニストに対してアロステリックな拮抗作用を示す。ここでは、1-(3-(2-エトキシエトキシ))-5,5,8,8-テトラメチル-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イル)-2-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボン酸(14、CBTF-EE)を、許容性のあるRXRヘテロダイマーにおいてアロステリックな阻害を示さない初めてのRXRアンタゴニストとして紹介する。この化合物は、RXRのコンフォメーション変化を誘発しないRXRアンタゴニストは、このようなアロステリック阻害を示さないという仮説に基づいて設計された。14とRXRリガンド結合ドメイン(LBD)の複合体のCDスペクトルおよびX線共結晶解析により,14がhRXR-LBDの構造を変化させないことが確認された。X線構造解析の結果、14はリガンド結合ポケット(LBP)の入り口に結合し、LBPへのアクセスをブロックすることで、「ゲートキーパー」の役割を果たしていることが明らかになった。

詳細

Discovery of a “Gatekeeper” Antagonist of Retinoid X Receptors without Allosteric Ligand Inhibition in Permissive RXR Heterodimers,
Masaki Watanabe, Michiko Fujihara, Tomoharu Motoyama, Mayu Kawasaki, Shoya Yamada, Yuta Takamura, Sohei Ito, Makoto Makishima, Shogo Nakano*,Hiroki Kakuta*,
Journal of Medicinal Chemistry, 64(1), 430-439 (2021)